顧客インタビューの基本|
調査方法・実施手順・効果を高めるポイントを解説
顧客の行動プロセスや深層心理を探る方法として効果的なのがインタビュー調査です。顧客との対話を通じて様々な定性情報を収集し、マーケティング活動に役立てることができます。
本記事では、顧客インタビューの調査方法や実施手順、効果を高めるポイントを解説します。
顧客インタビューの目的と調査方法
顧客インタビューとは、自社の商品・サービスを購入したお客様を対象に実施するインタビュー調査のことです。
まずは、顧客インタビューの重要性や目的、調査方法について見ていきます。
顧客の声を聞く重要性
昨今はライフスタイルやニーズの多様化が進んでいるため、顧客のリアルな声を収集・分析する重要性が高まっています。従来のように、企業目線のプロダクトアウト発想で生み出された商品や施策では自社の競争力向上は難しい状況です。
顧客インタビューでは、お客様との対話を通じて「商品を使用した感想」や「購入に至るまでの気持ちの変化」など様々な定性情報を収集することが可能です。アンケート調査だけでは把握しきれない、顧客の行動原理やインサイトに迫ることができるため、顧客のニーズを的確に捉えた商品や施策を展開しやすくなります。
顧客インタビューの目的・用途
一般的に、顧客インタビューは以下のような目的で実施します。
- 顧客の実態把握(ライフスタイルや購買プロセス、価値観など)
- 商品の使用実態の把握
- 顧客のインサイトの探索
- 商品・広告などの課題の発見
- 定量調査のための仮説の発見
顧客の実態やインサイトを探ることは、精度の高いペルソナやカスタマージャーニーマップなどの作成にも役立ちます。
2種類のインタビュー調査方法
顧客インタビューの調査方法は「デプスインタビュー」と「グループインタビュー」の2つに大別され、実施形態や適した用途などに違いがあります。
それぞれの概要を以下にまとめました。
デプスインタビュー | グループインタビュー | |
---|---|---|
実施人数 |
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実施形態 | 面談形式 | 座談会形式 |
実施時間 | 60~90分程度 | 90~120分程度 |
実施方法 |
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主な目的・用途 |
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顧客インタビューを実施する際は、目的に合った調査方法を選ぶことが大切です。
実施方法について、近年はビデオ会議システムを用いたオンラインインタビューを採用する企業も増えています。また、スピーディかつ手軽に定性情報を収集できるインタビュー調査方法として、チャット形式のインタビューサービスの活用も進んでいます。
セルフ型のチャットインタビューサービス『Sprint』は、5分で対象者のリクルーティングが完了し、マッチングが成立したらすぐに30分間のチャットインタビューを実施することができます。
インタビュー調査の特徴やポイントを詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
インタビュー調査(定性調査)とは|初心者が知っておきたい活用例・手法・実施フロー
デプスインタビューとは|メリット・デメリットと実施の流れを解説
フォーカスグループインタビュー(FGI)とは|グルーピングの例や基本ポイントを解説
顧客インタビューの実施手順
次に、顧客インタビューの基本的な実施手順を見ていきます。
調査企画
まず、インタビュー調査を行う目的やマーケティング課題を明確にし、調査計画を策定します。具体的には以下のような項目を検討します。
- 調査対象(どのような属性の顧客を集めるか)
- 調査人数
- インタビュー形式(デプスインタビュー/グループインタビュー)
- 実施方法(対面/オンライン/チャット形式)
- スケジュール
- 調査項目
実査や分析は調査計画に則って行うため、この段階でしっかりと企画を練り上げておくことが重要です。
調査対象者の選定・リクルーティング
調査計画が決まったら、対象者を選定・リクルーティングします。顧客インタビューでは次のような選定方法が挙げられます。
- 自社の顧客リストから要件に合致する人を選定
- 調査会社等の調査パネルにスクリーニング調査を実施
選定後は、候補者にインタビュー調査に協力してもらえるかをメールや電話で確認し、同意が得られた方にインタビューの目的・日時・場所・謝礼などを記載した案内を送付します。
インタビューフローの作成
調査内容に沿ってインタビューフローを作成します。インタビューフローは、質問の内容や順番などを書き起こした進行表のことです。具体的には以下のような項目を記載します。
- 質問項目
- 質問する順番
- 質問ごとの時間配分
インタビューを担当するモデレーターと共有し、調査の要点や流れをすり合わせておきます。
インタビューの実施・デブリーフィング
インタビューフローに沿ってインタビューを実施し、終了後にデブリーフィングを行います。デブリーフィングはモデレーターを含めた関係者で行うミーティングのことで、インタビューで得た気づきや意見を共有します。
分析・レポーティング
インタビューが終わったら、対象者の発言内容を書き起こした発言録を作成し、情報を整理・分析してレポートにまとめます。インタビューでは膨大な定性情報が収集されるため、情報整理のフレームワークなどを活用するとよいでしょう。
インタビュー調査のまとめ方については、以下の記事を参考にしてください。
【定性調査のまとめ方】レポート作成の基本手順と分析方法を解説
デプスインタビューのまとめ方と注意点|役立つ分析手法を解説
顧客インタビューの効果を高めるポイント
最後に、顧客インタビューを実施する際に意識したいポイントを3点紹介します。
話しやすい雰囲気を作る
インタビュー調査では対象者が緊張していることがあります。場の緊張感がほぐれないと発言量が減る傾向があるため、本題に入る前に話しやすい雰囲気を作ることが大切です。例えば天気や季節など、当たり障りのない話題であれば気兼ねなく発言できるので、リラックスさせることが可能です。
「なぜ」を言い換える
インタビュー調査では質問を重ねて発言を深掘りすることが重要ですが、「それは、なぜですか」「どうしてですか」といった聞き方ばかりだと問い詰めている印象を与えてしまいます。
対象者に行動の理由や背景などを聞きたい場合は、次のように「なぜ」を言い換えることをおすすめします。
質問例「なぜ、商品Aを使い続けているのですか」
言い換え例①「商品Aを使い続けている理由についてお聞かせください」
言い換え例②「他の商品にはない、商品Aの魅力を教えてください」
「~についてお聞かせください」「~について教えてください」といった聞き方だと柔らかい印象になり、対象者に圧迫感を与えません。
オープンクエスチョンを心がける
質問の仕方には、回答内容を制限しない「オープンクエスチョン」と、「はい・いいえ」などに回答範囲を限定する「クローズドクエスチョン」があります。
具体例は以下です。
<オープンクエスチョン>
- デザインAの印象をお聞かせください
- この商品の使い勝手はいかがでしたか
<クローズドクエスチョン>
- デザインAとB、どちらが好きですか
- この商品は使いやすいと思いましたか
インタビュー調査で率直な意見や気持ちを述べてもらうためには、自由に回答しやすいオープンクエスチョンを意識すると効果的です。
顧客の声を収集してマーケティングの精度を高めよう
インタビュー調査で顧客の声を収集すれば、商品の使用実態や課題などが明らかになり、有効な施策・改善策を講じやすくなります。また、アンケート調査などの定量調査では把握できない顧客のインサイトに迫ることができる点も大きなメリットです。自社のマーケティングの精度を高めたい場合は、顧客インタビューを実施して顧客理解を深めることをおすすめします。