インタビュー調査(定性調査)とは|
初心者が知っておきたい活用例・手法・実施フロー
定性調査の代表的な手法がインタビュー調査です。一般的なアンケート調査では取得しづらい生活者の実態や本音に迫ることができるため、マーケティングにぜひ取り入れたい調査手法です。
今回は、インタビュー調査の主な種類や活用例、実施フローなどを解説します。
インタビュー調査とは
まずは、インタビュー調査の位置づけや目的を見ていきましょう。
消費者心理を深堀りする定性調査
インタビュー調査とは、調査対象者にインタビューを行うことで回答を得る手法です。調査テーマに沿って様々な質問を投げかけ、対象者の生の声を引き出していきます。
インタビュー調査は定性調査の一種です。回答結果を数値化して傾向をつかむ定量調査(アンケート調査)と違い、行動の理由や消費者心理、インサイトなどの「質的な情報」を取得するのに適しています。
例えば、インタビュー調査では以下のような質問を投げかけます。
- この商品を購入するときに考えたことを教えてください
- どのようなきっかけで使い始めたのですか
- 初めて商品を使用した時、どんな気持ちでしたか
- この商品にどんなことを期待していますか
設問が決まっているアンケート調査では回答を記入して終わりですが、インタビュー調査では会話の中で気になるワードやエピソードが出てきた時にさらに質問を投げかけ、情報を深堀りすることができます。
また、対面の調査であるため、発言の際の口調や表情、仕草からも様々な情報を得ることが可能です。
インタビュー調査の目的・活用例
調査対象者の行動原理やインサイトに切り込むことができるインタビュー調査は、以下のような目的や課題の解決に用いられることが多いです。
- 購買プロセスやカスタマージャーニーを詳しく把握したい
- 生活者やターゲット層のインサイトを把握したい
- 新たなニーズや商品アイデアの手がかりが欲しい
- 商品の改善点を洗い出したい
- 定量調査の実施に向けて仮説を立てたい
インタビュー調査の主な種類
インタビュー調査は「グループインタビュー」と「デプスインタビュー」の2種類に大別されます。
一般的には調査を実施する企業や調査会社が用意したインタビュールームなどで実施しますが、近年ではオンラインによるインタビュー調査も増えています。
各手法の特徴を見ていきましょう。
グループインタビュー(FGI)の特徴
グループインタビュー(FGI:Focus Group Interview)は、複数の対象者を集めてインタビューを行う手法です。4~8人程度で1つのグループを作り、モデレーターと呼ばれる司会者が調査テーマに沿って質問を投げかけ、自由に発言してもらいながら各自の声を拾い上げます。実施時間は120分程度です。
一般的に、一つのグループは属性や商品の使用状況が同じ人で構成することが多いです。
<グループの分類例>
- 性別・年齢・未既婚
- ライフスタイル特性
- 趣味嗜好
- 商品やサービスの使用頻度
- 商品やサービスの満足度
属性や価値観が近い人同士で話し合うグループインタビューでは、意見交換が活発になりやすいという特徴があります。他の人の発言を受けて同調・反対意見を述べたり、自分のエピソードを思い出すなどの相乗効果が期待できるため、幅広い意見・ニーズや新たな気づきにつながる情報を収集しやすいです。
<適した用途の例>
- コンセプトや広告の評価
- パッケージデザインの評価
- ターゲット層や競合他社ユーザーの実態把握
- 属性別のユーザー特性の把握
デプスインタビュー(DI)の特徴
デプスインタビュー(DI:Depth Interview)は、対象者とインタビュアーが1対1の面談形式で行う調査手法です。「深層面接法」とも呼ばれ、1人あたり30~90分程度の時間をかけてじっくりと対話をしながら対象者の話を掘り下げていきます。
比較的本音を引き出しやすい手法であるため、対象者のパーソナリティや価値観、意思決定の過程・検討軸などを詳細に把握しやすいのが特徴です。また、多くの人の前では話しづらいデリケートな内容・テーマについても意見を収集することが可能です。
<適した用途の例>
- ターゲットの行動の背景やインサイトの把握
- 購買プロセスやカスタマージャーニーの把握
- 新商品開発に向けた仮説・アイデアの探索
- コンセプトのブラッシュアップ
オンラインインタビューの特徴
インタビュー調査は対面での実施が一般的ですが、近年ではビデオ会議システム(ZoomやSkypeなど)を用いたオンラインインタビューの活用も進んでいます。
インターネット環境とカメラ・マイク付きのパソコンがあれば実施できるため、遠方の人や子育て・介護などで会場まで出向くことができない人にも話を聞くことができます。感染症のリスクを気にする必要もないため、計画通りに調査を遂行しやすいです。
「自宅から気軽に参加できてリラックスして話しやすい」「移動する手間が省ける」など、対象者にとってもメリットがある手法です。
オンラインインタビューを自社で手軽に行いたい場合は、チャット形式のインタビューサービスもおすすめです。『Sprint(スプリント)』は対象者を5分程度でリクルーティングでき、マッチングが成立したらすぐに30分間のチャットインタビューを実施することができます。
インタビュー調査の実施フロー
一般的に、インタビュー調査は以下のような流れで実施します。
調査企画
まず、マーケティング課題を整理して調査のアウトラインを検討し、調査計画書を作成します。インタビュー調査を通して何を把握したいのか、そのためにはどんな属性の人をどれくらい集めるべきかを明確にし、適したインタビュー形式を選択します。
対象者のリクルーティング・調査会場の確保
調査のアウトラインが決まったら、対象者を選定します。一般的にはスクリーニング調査を行い、調査会社のアンケートパネルや自社モニターなどから要件に当てはまる人を絞り込みます。
また、インタビュー形式に合った調査会場を確保し、ビデオ撮影・録画を行う場合は機材等を準備します。
調査フローの作成
調査内容に沿ってインタビューフローや質問項目を作成します。モデレーターやインタビュアーと打ち合わせを行い、インタビューの目的・ポイントや流れをすり合わせておきます。
実査・デブリーフィング
インタビューを実施し、終了後にデブリーフィングを行います。デブリーフィングは、調査後にモデレーターや企業の担当者などで行う報告会のことで、インタビューを通して各自が気づいた点や意見を交換します。
分析・報告書の作成
インタビューで対象者が発言した内容を発言録にまとめ、デブリーフィングの内容などを元に分析・報告書を作成します。
マーケティング強化にインタビュー調査を取り入れよう
マーケティング調査にグループインタビューやデプスインタビューを取り入れれば、アンケート調査では把握しづらい消費者インサイトやカスタマージャーニーなどを把握しやすくなります。新たなニーズや商品アイデアを発見し、競争力の高い商品開発・施策立案につながることもあるでしょう。
消費者やユーザーの理解を深めてマーケティング力を強化したい場合は、インタビュー調査にチャレンジしてみることをおすすめします。