消費者の実態・インサイトに迫るインタビュー調査|
5つの活用方法と3つの基本ポイント

28 April.2022 / 定性調査

イメージ

消費者の生活実態や本音を知る方法として有効なのがインタビュー調査です。様々な活用方法があり、定量調査だけでは把握できないインサイトに迫ることが可能ですが、適切に実施するにはコツがあります。

今回は、インタビュー調査の主な活用方法や、最低限押さえておきたい基本ポイントを解説します。

インタビュー調査のコツ

あわせて読みたい|
インタビュー調査のコツ

インタビュー調査のコツ

インタビュー調査の基本的なテクニックや注意すべきポイントを具体的な例を交えながらご紹介します。

消費者のリアルな声を聞くインタビュー調査

イメージ

消費者の購買行動・心理を探るには、インタビュー調査などの定性調査が効果的です。まずは、なぜ定性調査を行う必要があるのかを確認しましょう。

定量調査だけでは「消費者インサイト」に迫れない

マーケティングや商品開発のために行う消費者調査は、「定量調査」と「定性調査」に大別されます。どちらも消費者のライフスタイルや購買行動にまつわる様々な情報を収集できますが、「消費者インサイト」を把握するには定性調査が欠かせません。

消費者インサイトとは、消費者自身が気づいていない隠れた購買動機や欲求のことです。近年、消費者の購買プロセスは多様化・複雑化しており、本人が購入理由を明確に説明できないような無意識の購買行動も多く見受けられます。

そのような、顕在化していない消費者の心の根底にある本音(=インサイト)は、アンケート調査などの定量調査だけで把握することは困難です。なぜなら、定量調査では本人が自覚している回答しか得られないからです。

消費者インサイトは、消費者との対話を通じて掘り起こすことができるため、定性調査を行う必要があるのです。

【基礎知識】定性調査とは?目的・手法や定量調査との違いを解説

インタビュー調査の種類

定性調査の代表的な手法がインタビュー調査です。インタビュー調査はグループインタビューとデプスインタビューに大別され、近年はオンラインでのインタビュー調査を実施するケースも増えています。

<グループインタビュー>

属性や価値観が近い対象者を複数人集め、座談会形式で自由に発言してもらうことで様々な意見・情報を収集する手法。

<デプスインタビュー>

対象者とインタビュアーが1対1で対話をすることで購買行動や心理を深く掘り下げる手法。

<オンラインインタビュー>

ZoomやGoogle Meetなどのビデオ通話アプリを活用して実施するインタビュー調査。自宅や遠隔地の対象者にもグループインタビューやデプスインタビューを行うことができる。

インタビュー調査について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
インタビュー調査(定性調査)とは|初心者が知っておきたい活用例・手法・実施フロー
グループインタビューとは?|調査の基本概要とメリット・注意点
デプスインタビューとは|メリット・デメリットと実施の流れを解説

インタビュー調査の主な用途・活用方法

イメージ

インタビュー調査は様々な目的・用途に用いられます。ここでは、主な活用方法を5つご紹介します。

消費者のライフスタイル・価値観の把握

商品・サービスのターゲット設定を適切に行うには、年齢・性別・職業といったデモグラフィック属性だけではなく、消費者のライフスタイルやその背景にある価値観を把握することが重要です。インタビュー調査では、普段の生活実態や生活する上で重視していること、関心のある事柄など、様々な観点で消費者特性を深堀りすることができるため、ターゲットの人物像(ペルソナ)を具体的に描きやすくなります。

購買プロセス・カスタマージャーニーの把握

ライフスタイルや購買チャネルの多様化に伴って、消費者の購買行動・購買心理も複雑なものになっています。インタビュー調査は消費者の購買プロセスを解き明かすためにも有効で、商品・サービスを認知してから購入に至るまでの経緯や、思考・気持ちの変化を詳しく知ることができます。対話を通じて購買行動にまつわる様々な情報を収集できるため、カスタマージャーニーの把握にも役立ちます。

商品の使用実態の把握

商品・サービスの競争力を長期にわたり維持・向上するためには、ユーザーの使用実態をしっかりと把握して改善につなげることが重要です。インタビュー調査では、使用目的や使い方、使用シーンを明らかにすると共に、その背景にある生活環境や心理的な要因を探ることができます。また、商品に対する不満点や改良してほしい点を聴取することで、商品改良のヒントを得ることができます。

デザインや広告の評価

新商品のパッケージや広告について、デザイン・コンセプトの方向性を確認したり、複数案から採用するものを絞り込むためにインタビュー調査を行うことも多いです。アンケート調査だけで判断することも可能ですが、インタビュー調査を組み合わせれば、デザインや広告を見たときのリアルな反応や率直な感想に触れることができます。

デザインや広告の評価は、活発な意見交換が期待できるグループインタビューが適しています。検討の初期段階で実施すれば、思わぬアイデアや訴求ポイントを発見できる場合もあります。

仮説の構築・検証

マーケティング調査では仮説に基づいて調査票を作成する必要がありますが、消費者やターゲットについて理解が不足していると仮説をきちんと設定できず、適切な調査票作成ができません。そのため、グループインタビューやデプスインタビューで対象者の意識・行動を把握し、定量調査の仮説構築に役立てることがあります。反対に、定量調査の結果から導き出された仮説を検証するためにインタビュー調査を行うケースもあります。

インタビュー調査の効果を高める基本ポイント

イメージ

インタビュー調査を成功させるには、いくつかの要点を押さえる必要があります。ここでは3つの基本ポイントをご紹介します。

対象者のスクリーニング

人数を絞って行うインタビュー調査では、調査の目的・仮説にマッチした対象者を選定することが肝要です。対象者の選定を誤ると、調査の精度が低下して必要な情報・調査結果を得ることができません。

グループインタビューやデプスインタビューを行う際は、どのような属性・ライフスタイル・価値観をもつ人を対象に実施するべきかを明確にし、事前のスクリーニング調査で対象者を絞り込みましょう。

ラポール形成

グループインタビューやデプスインタビューでは、対象者が緊張して口が重くなってしまうことがあります。そのため、インタビューの本題に入る前に「ラポールの形成」を行い、話しやすい雰囲気を作ることが重要です。ラポール(rapport)とは「心理的なつながり」や「信頼関係」のことです。

インタビュー調査でラポールを形成する方法としては、調査テーマと関係のない気軽な雑談を行うのが一般的です。例えば、「今日は肌寒いですね」「駅からここまで迷いませんでしたか?」など、当たり障りのない話題を投げかけることで、場を和ませることができます。

発言内容の深堀り(ラダリング法)

インタビュー対象者のインサイトに迫るためには、発言内容を深堀りしながら「対象者のどのような価値観が、商品等の選択・評価に結びついたのか」を明らかにすることが効果的です。

消費者の価値観の構造を知る方法としてよく用いられるのが「ラダリング法」です。ラダリング法とは、「なぜ、この商品はあなたにとって価値があるのですか」といった質問をくり返すことで、商品のもつ属性から機能的ベネフィット・情緒的ベネフィットまでハシゴ(ladder)を上るようにして明らかにしていく調査手法です。

単なる1問1答ではなく、回答に対して「なぜ?」とさらに問いかけることで、対象者の深層心理や本音に迫ることができます。

インタビュー調査で消費者の理解を深めよう

インタビュー調査を実施すれば、消費者・ターゲットのインサイトに迫ることができ、実態に即した効果的な施策の立案・改善につながる可能性が高まります。ただし、インタビュー調査はやみくもに実施しても成果を上げることはできません。自社が求める情報を収集するには、対象者の選定を適切に行い、インタビュー冒頭で話しやすい雰囲気を作り、「なぜ?」をくり返して話を深堀りすることを意識する必要があります。

インタビュー調査を適切に実施して消費者の本音を引き出し、精度の高い判断やインサイトの発見につなげましょう。

インタビュー調査のコツ

あわせて読みたい|
インタビュー調査のコツ

インタビュー調査のコツ

インタビュー調査の基本的なテクニックや注意すべきポイントを具体的な例を交えながらご紹介します。

ブログカテゴリー
人気のダウンロード資料
おすすめダウンロード資料
  • インタビュー調査お役立ち資料
  • お役立ち資料はこちらから!