【基礎知識】
定性調査とは?目的・手法や定量調査との違いを解説

10 February.2022 / 定性調査

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市場調査やマーケティングリサーチの基本手法の一つに「定性調査」があります。消費者・ユーザーの心理や価値観を掘り下げて把握したい時に有効で、定量調査とは目的や活用方法が異なります。

今回は、定性調査とはどのような調査なのかを知りたい人のために、目的・手法などの基本的な特徴を解説します。

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定性調査とは

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まずは、定性調査の意味・概要や定量調査との違いなどを見ていきましょう。

定性調査の目的

定性調査とは、行動の理由や感情、価値観など、数値化できない「質的な情報」を収集するための調査手法です。

具体的には以下のような情報が得られます。

  • 購入に至ったプロセス・心理的な背景
  • 広告を見た印象
  • 商品の使い方(どんな時・どのように)
  • サービスを利用した時の気持ち
  • 他社製品からスイッチした理由

定性調査はアンケート形式ではなく、対象者と対面して質問・ヒアリングを行いながら回答を集めます。直接会話をしながら質問を深めていくことで、対象者の内面や行動原理を詳しく把握することができます。

定性調査には様々な用途がありますが、マーケティング領域では主に以下のような目的・ケースで実施されます。

  • 消費者インサイトの把握
  • 新たなニーズや商品アイデアの発見
  • 改善点の発見
  • 仮説の構築

定量調査との違い

ここで、定性調査と定量調査との違いを確認しておきましょう。

定量調査 定性調査
取得するデータ 数値・数量 言葉・行動・体験など
数値化できない情報
調査方法 アンケート形式 対面形式(インタビューなど)
サンプル数 多数(数百人~数万人) 少数(数人~十数人)
調査目的 「何を(What)」を知る 「なぜ(Why)」
「どのように(How)」を知る
調査で
わかること
購入経験率、商品の満足度、
使用回数、認知率など
購買理由、興味関心、
要望・ニーズ、行動パターン、
ライフスタイルなど
メリット
  • 調査対象者の負担が少なく、回答協力を得やすい
  • 一回の調査で多くのデータを取得して統計的な分析ができる
  • 行動の背景・理由やインサイトを深堀りできる
  • 新たなニーズやアイデアが発見できることがある
デメリット
  • 設問が決まっているため、回答の背景や理由を深堀りできない
  • データ分析の知識・スキルが必要
  • 調査人数に限りがある
  • 統計的な分析には不向き
  • モデレーターのスキルに依存する

定量調査の主な役割は、生活者やユーザーの行動・意識を数値で可視化し、割合や傾向を把握することです。そのため、数百人以上の大規模なアンケート調査を実施する必要があります。

一方の定性調査は、生活者やターゲット層一人ひとりの生の声から新たなニーズ・商品改善のヒントなどを得ることが主な役割で、調査対象者は数人~十数人程度となります。

それぞれの特徴やメリット・デメリットを踏まえ、目的に応じて使い分けることが大切です。

定性調査の代表的な手法

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定性調査には様々な手法があります。ここでは代表的な4つの手法を紹介するので、それぞれの特徴を押さえておきましょう。

グループインタビュー(FGI)

調査対象者を4~8人程度集めて一つのグループを作り、調査テーマについて自由に発言・意見交換をしてもらう手法です。FGIは「フォーカス グループ インタビュー」の略語で、集団面接法とも呼ばれます。実施時間は120分程度です。

グループインタビューでは司会者(モデレーター)が進行役を務め、様々な質問をしながら各対象者の意見やインサイトを引き出していきます。一般的には属性が近い人でグループを構成することが多く、お互いの発言を受けて意見交換が活発になりやすいのが特徴です。

デプスインタビュー

デプスインタビューは、対象者とインタビュアーが1対1の面談形式で行う調査手法です。1人あたり30~90分程度の時間をかけ、じっくりと話を掘り下げることができるのが特徴です。ターゲット層のペルソナ(人物像)や購買プロセスを詳しく把握したいときや、お金や健康などパーソナルなテーマを取り扱うときに適しています。

行動観察調査(エスノグラフィ)

調査対象者の日常生活に同行し、実際に商品を購入・使用している様子を観察する手法です。例えば、スーパーでいつも通りに買い物をする様子を観察することで、商品の選び方の癖や比較検討のプロセスなどを調査することができます。

普段のありのままの行動には無意識に行っている癖や意識が表れることがあるため、対象者本人も気づいていない行動原理やインサイトの発見につながります。

訪問観察調査

訪問観察調査はエスノグラフィの一種で、商品を利用している人の自宅を訪問して商品の使用環境や使い方などを調査します。実際の生活環境で行うため、普段どのような場面で商品が使用され、その背景にはどのような考え・気持ちがあるのかをつぶさに確認することができます。

自分の行動の詳細は、アンケート調査やインタビュー調査では思い出せないことがありますが、訪問観察調査であれば普段のリアルな状況を再現できます。何気ない仕草・行動から、商品改善のヒントを発見できることがあります。

定性調査は定量調査と組み合わせると効果的

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ここまで見てきたように、定性調査のアプローチ方法や得られるデータは定量調査とは全く異なります。そのため、目的に合わせて使い分けるのが基本ですが、二つの調査を併用したほうが信頼性・有用性の高いデータが得られる場合もあります。

定性調査と定量調査を組み合わせた調査は大きく2パターンあります。詳しく見ていきましょう。

定性調査を先に行うパターン

まず定性調査を行って仮説を立て、定量調査で検証するパターンです。

通常、定量調査を行う際は仮説に基づいて設問・調査票を作成しますが、調査対象の領域についての知識・理解が不足していると、質問や選択肢が的外れなものになってしまうことがあります。調査内容がターゲット層やユーザーの実態に即していなければ、精度の高い調査結果を得ることができません。

このような場合に、あらかじめ定性調査を実施して対象者にどのような行動・意識が見られるのかを把握します。その結果を元に、例えば「ヘビーユーザーにはこのような心理的な傾向があるのではないか」「この機能は不要かもしれない」といった仮説を立てて調査票設計の材料とし、定量調査で量的な傾向を検証します。

定量調査を先に行うパターン

先に定量調査を実施して全体の大まかな傾向を把握し、その後に定性調査で詳細の深堀りを行うパターンです。

例えば、定量調査の結果、特定のターゲットの購入頻度や満足度が高いことがわかった場合、該当する人にグループインタビューやデプスインタビューを行い、「くり返し使用する理由」や「気に入っている点」などを掘り下げて確認します。

リピート理由などは定量調査の自由回答欄に記入してもらうこともできますが、本人が自覚している表面的な情報に留まる可能性があります。その点、定性調査ではモデレーターとの会話を通じて潜在的な意識・心理にまで迫ることが可能です。

定性調査でターゲットのインサイトに迫ろう

ライフスタイルや購買行動が多様化している現代において効果的なマーケティング施策を打ち出すには、まず生活者の生活実態やインサイトを深く理解する必要があります。定性調査を実施すれば、定量調査だけでは把握しきれない感情の動きや行動の構造を詳しく知ることができ、新たなニーズやアイデアの発見につながることがあります。

マーケティングに定性調査を取り入れて、ユーザーやターゲット層の理解を深めましょう。

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