顧客インサイトを探る方法|
効果的な調査の種類と分析のポイント

30 May.2022 / インサイト

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顧客のインサイトを発見すれば、競合他社がひしめく市場でも商品・施策の差別化を図ることができます。顧客インサイトは簡単に見つかるものではありませんが、定性調査を通じて探り出すことが可能です。

今回は、顧客インサイトを探る効果的な調査方法や分析のポイントについて解説します。

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消費者のホンネ、すなわち”インサイト”を探るためのインタビュー実例を、活用シーン別・業種別に9種類ご紹介します。

顧客インサイトの意味・重要性

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最初に、顧客インサイトの意味や重要性について見ていきましょう。

顧客インサイトとは

顧客インサイトとは、「顧客の深層心理にある本音」や「顧客の行動を促す本質的な動機」を意味するマーケティング用語です。

顧客の様々な行動は、本人が自覚しているニーズや動機に基づいて行われているとは限りません。例えば、購入理由として「安かったから」「いつも購入しているから」と回答した場合でも、その背景には本人が認識していない本質的な動機などがあるはずです。

インサイトは、そのような顧客の深層心理に着目した概念です。潜在ニーズと混同されることがありますが、潜在ニーズはインタビューなどで掘り下げれば顕在化が可能です。一方、インサイトは無意識の領域に隠されているため、本人は明確に言語化することはできません。

しかし、顧客インサイトは購買行動に大きな影響を与えるため、調査によって探り出し、顧客に響く商品開発やマーケティング施策に活かす必要があります。

なお、顧客インサイトはメディアによって「消費者インサイト」や「ユーザーインサイト」などと表記される場合もありますが、同じ意味として捉えて問題ありません。
(ユーザーインサイトは、Webマーケティングの領域で用いられる傾向があります)

マーケティングにおけるインサイトについては、以下の記事も参考にしてください。

「消費者インサイトとは|ニーズとの違い・活用例・調査手法を解説」

「ユーザーインサイトとは|ユーザーの深層心理を解析してWebサイトを改善」

顧客インサイトを探る意義

近年は、ライフスタイルの多様化やインターネットの普及に伴って、顧客の購買プロセス・購買心理が複雑化しています。そのため、従来のように顕在化されたニーズに着目した商品や施策では、顧客の行動を促すのは難しい状況です。

その点、顧客の深層心理にアプローチしてインサイトを明らかにできれば、購買行動のスイッチとなる本質的な欲求を捉えた商品・施策を展開しやすくなります。ニーズを満たす商品は市場に溢れているため価格競争に陥りやすいですが、顧客を深く理解した商品・施策であれば、飽和化した市場でも競争力を高めることが可能です。

顧客インサイトを探るには定性調査が有効

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顧客インサイトの探索に適した手法の一つに定性調査があります。その理由と、定性調査の主な種類を紹介します。

顧客インサイトの把握は簡単ではない

先述の通り、顧客インサイトは深層心理に隠れた欲求・動機であるため、アンケート調査で顧客に「あなたのインサイトを教えてください」と聞いても把握することはできません。アンケートで得られる回答は、すでに顕在化しているニーズなど本人が自覚しているものだからです。

そのため、無意識のインサイトを把握するのは簡単ではありませんが、定性調査であれば顧客の心理や行動原理を少しずつ紐解くことが可能です。定性調査とは、行動や感情、価値観など数値化できない「質的な情報」を収集するための調査手法です。調査対象者にインタビューなどを行って質的な情報を収集し、それらを分析することで行動の背景や理由を探ります。

定性調査の基本が知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

【基礎知識】定性調査とは?目的・手法や定量調査との違いを解説

インサイトの把握に適した調査の種類

顧客インサイトの探索に役立つ主な定性調査を以下に挙げます。

<インタビュー調査>

インタビュー調査は定性調査の最も代表的な手法です。調査テーマに沿って様々な質問を投げかけ、対話を通じて対象者の行動理由や心理を探っていきます。調査対象者を4~8名程度集めて座談会形式で行う「グループインタビュー」と、対象者とインタビュアーが1対1で行う「デプスインタビュー」の2種類に大別されます。

インタビュー調査では回答を深掘りすることができるため、顧客のインサイトに迫ることが可能です。

<行動観察調査(エスノグラフィ)>

調査対象者の自宅や普段利用している店舗などで、商品を使用する様子や買い物をする様子などを観察する手法です。日常と同じ環境だと商品の使い方や購買行動に無意識の仕草などが表れやすく、インサイトの発見につながることがあります。

以下の記事も参考にしてください。

インタビュー調査(定性調査)とは|初心者が知っておきたい活用例・手法・実施フロー

顧客インサイトに迫る定性調査・分析のポイント

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では、定性調査でどのように顧客の深層心理に迫ることができるのでしょうか。顧客インサイトを紐解くポイントをご紹介します。

質問を重ねて回答を深掘りする

定性調査で重要なのは、回答に応じて質問を重ねることです。例えば、顧客に「なぜ、この商品を購入しましたか」と聞いて「使いやすいからです」と答えた場合、「なぜ、使いやすいことが重要なのですか」や「どのような点に使いやすさを感じますか」などと深掘りします。

このとき、「はい・いいえ」で回答する質問ではなく、「なぜ」「どのように」など回答が限定されないオープンな質問を投げかけるのがコツです。そうすることで、顧客の内面の深い部分まで探ることができ、顧客インサイトの発見につながることがあります。

多角的な視点で分析する

定性調査で収集した情報は、様々な視点で分析することでインサイトにアプローチしやすくなります。顧客の言葉を鵜呑みにしたり、回答を偏った見方で解釈したりすると、的外れな結論に至ることがあるため注意が必要です。

そのため、インタビューなどで得た定性情報は、以下のような観点で多角的に分析することをおすすめします。

  • 事実・現象につながる原因は何か
  • 手段(商品・サービスや解決方法)を選択した目的は何か
  • 発言内容に矛盾点はないか
  • 食欲・睡眠欲・承認欲求など、人間の普遍的な欲求から探れないか

ペルソナを設定する

顧客インサイトの分析に役立つ手法の一つに「ペルソナ設定」があります。マーケティングにおけるペルソナとは「商品・サービスの典型的なユーザー像」を指します。ペルソナを設定することで、関係者間で同じユーザー像を共有でき、顧客視点で施策を検討・立案しやすくなります。

ペルソナは、年齢・性別・職業などの基本的な属性情報だけではなく、「休日の過ごし方」「情報の入手方法」「仕事の悩み」「チャレンジしたいこと」など様々な要素を含めて作成します。

定性調査で得た情報を元に「リアルな一人の人物像」を設定することで、顧客インサイトを検討しやすくなります。

共感マップを作成する

「共感マップ」とは、顧客(ペルソナ)を取り巻く環境や行動・感情などを把握するために用いるフレームワークです。

一般的に、共感マップは以下の6つの要素で構成されています。定性調査で得た情報や、設定したペルソナを元に各項目を書き出して作成します。

  • 顧客が考えていること・感じていること
  • 顧客が周囲の人やメディアで聞いていること
  • 顧客が生活の中で見ているもの
  • 顧客の行動や言いそうなこと
  • 顧客に痛みやストレスを与えること
  • 顧客が欲しいもの

共感マップで顧客の行動や内面を整理することで、顧客のインサイトを発見しやすくなります。

顧客の深層心理にあるインサイトを見つけよう

深層心理にあるインサイトは顧客から直接聞き出すことができないため、インタビュー調査や行動観察調査などの定性調査で探る必要があります。定性調査で得られた情報は多角的な観点で分析することが重要で、ペルソナの設定や共感マップを作成することもインサイトを紐解くのに有効です。ここでご紹介した調査方法や分析手法を参考に、顧客インサイトを見つけましょう。

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