ユーザーインタビューの募集はどうする?|
6つの募集方法と費用の相場を解説
プロダクト開発やマーケティングにおいて、ユーザー視点は欠かせない要素です。ユーザーインタビューは、ユーザーとの対話を通じて課題・ニーズを的確に捉えることができる調査手法です。しかし、対象ユーザーの募集方法がわからないという声が少なくありません。
ここでは、ユーザーインタビューの募集方法と費用の相場を解説します。
ユーザーインタビューが必要な理由とは
ユーザーインタビューとは、調査対象となるユーザーへのインタビューを通じて課題・ニーズをつかんだり、商品・サービスに対する評価や利用実態を調べたりするリサーチ手法です。アンケートのように数字で傾向を捉える定量調査とは異なり、潜在的なニーズやインサイトを発見したい場合や、より詳細な情報を集めたい場合に適しています。
商品・サービスの向上を図る上で、UX(User eXperience:ユーザー体験)の改善は欠かせない要素となっています。「ユーザーにとって価値ある体験とは何か」を考える上でも、ユーザーの実際の声を聞くユーザーインタビューは多くのヒントを与えてくれます。
企業側の思い込みを払拭し、ユーザーを起点としたプロダクト開発やマーケティング活動を実現する上で、ユーザーインタビューが大いに役立ちます。
ユーザーインタビューを募集する6つの方法
ユーザーインタビューの対象者を募集する方法には、次の6つがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
ユーザーインタビューサービスを利用する
現在は、ユーザーインタビューの実施をサポートするサービスがいろいろと提供されています。幅広い層のモニタが登録しているサービスが多く、スピーディに対象者を探すことができます。
主な提供形態として、次のようなものがあります。
マッチングサービス
プラットフォーム上で、インタビュー対象のユーザーを募集できるサービスです。オンラインで探せるため、スピーディに対象者とのマッチングが可能です。インタビューの実施は、Zoomなどのビデオ会議システムを活用するサービスが多くなっています。
チャットインタビューサービス
インタビュー専用のチャットを利用して、対象ユーザーのスクリーニング(要件による絞り込み)からリクルーティング、インタビューまで実施できるというサービスです。会場を準備する手間がなく、より手軽かつスピーディにユーザーインタビューを実施できます。
また、チャット上に会話内容が残るため、音声データから文字起こしをする手間がかからないというメリットもあります。
チャットインタビューサービス『Sprint』は、5分で対象者とのマッチングが完了し、必要なときに即ユーザーインタビューを開始できるサービスです。インタビュー内容を動画で振り返ることができるほか、テキストをダウンロードできる機能も備えています。
自社の顧客からピックアップする
自社で保有する顧客リストの中から対象者を選んで、アポイントを取るという方法です。すでに自社の商品・サービスについて理解しているケースが多くなるため、積極的な意見を引き出しやすいというメリットがあります。一方で、自社プロダクトへの愛着が強い場合などは、意見に偏りが出てしまうことがあるため注意が必要です。
自社の顧客から選出する場合は、調査目的に即した要件でピックアップすることが重要になります。たとえば、自社商品の離反理由を知りたい場合は「1年以上利用がない顧客」というように、要件を具体的にして募集することがポイントです。
社員や知人からの紹介
社員の知り合いや知人からの紹介など、縁故から対象者を探すという方法です。紹介ということもあり、インタビューに対して協力的な姿勢で臨んでくれることが期待できます。
一方で、要件に合った人がすぐに見つかるとは限らない点がデメリットです。また、利害関係があると、回答内容にバイアスがかかる可能性がある点に注意が必要です。
アンケート回答者から選出する
アンケートを実施して、その中から要件に合うユーザーを絞り込んでインタビューのアポイントを取るという方法です。あらかじめ、アンケート項目の中にインタビュー対象者をスクリーニングするための質問を入れておきます。
幅広い回答者の中から対象ユーザーを選べるというメリットがある反面、事前にアンケートを実施しなければならないため、そのぶんの手間とコストがかかる点はデメリットとなります。
調査会社に依頼する
調査会社に依頼するという方法です。インタビュー対象者を募集するだけでなく、調査設計からインタビューの準備・実施、分析・レポーティングまで一通り任せることができます。
インタビューにかかる手間を削減できるほか、調査に関する専門的なノウハウを持っているため、質の高いユーザーインタビューを実施できるというメリットが期待できます。反面、大きなコストがかかることや、自社に調査のノウハウが蓄積されないというデメリットがあります。
クラウドソーシングを利用する
クラウドソーシングのプラットフォームを活用して、対象ユーザーを募るという方法もあります。たとえば「○○を利用している人で、インタビュー調査に協力してくれる方を募集」というように案件を提示すると、登録ユーザーから応募があるという仕組みです。
数万人単位で幅広い登録者がいるプラットフォームもあり、自社の要件に合ったユーザーを探しやすいというメリットがあります。ただし、インタビュー調査の目的に合ったユーザーかどうかを自社でしっかり見極める必要があります。
ユーザーインタビューにかかる費用の相場
ユーザーインタビューを実施する際にどれくらいの費用がかかるのか、それぞれの方法における相場を見ていきましょう。
ユーザーインタビューサービスを利用する場合
ユーザーインタビューサービスにかかる費用は、提供各社によって大きく変わります。以下に目安となる相場をまとめました。
マッチングサービス
対象ユーザー1名30分あたり1,000円台から提供されています。ただし、サポート内容や利用条件、モニタ数などは各社で異なるため事前に確認が必要です。
チャットインタビューサービス
チャットインタビューサービスは、月額制の料金体系が多くなっています。調査回数や利用人数などによって料金は変動しますが、月額5万円程度から提供されています。
チャットインタビューサービス『Sprint』は回数制限がない定額プランとなっていて、月額19万8,000円で利用できます。年間を通して数多くのユーザーインタビューを実施する場合は、定額プランを検討してみることをおすすめします。
自社で実施する場合
自社でユーザーインタビューを実施する場合は、ユーザーへの謝礼と会場費が主なコストです。謝礼の相場は、60分で8,000円から1万2,000円程度となっています。
なお、クラウドソーシングを利用する場合は、テーマやインタビュー内容によって変わりますが、1時間あたり2,000円から5,000円前後が相場です。
調査会社に依頼する場合
調査会社を利用する場合は、依頼内容によって費用の幅が大きく異なります。調査設計から対象者のリクルーティング、インタビュー実施、分析・レポーティングまで一通り依頼する場合、モニタ数5〜6名で20万円以上が相場です。
ただし、これは基本料金であり、実際の調査ではここに様々なオプションが必要となるため、そのぶんのコストが加算されます。
自社に適した募集方法を検討しよう
ユーザーインタビューは、自社の視点だけでは思いつかないような気づきを得られる調査手法ですが、対象ユーザーを探すのに苦慮しているというケースが少なくありません。昨今では、簡単に要件に合致するユーザーを探せるサービスも充実しているので、より手軽に多様なユーザーの声を集めやすくなっています。本記事を参考に、自社に適した募集方法を取り入れてみてください。