インタビュー調査の方法|
進め方のコツと成功のポイントとは

9 May.2022 / インタビュー調査

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インタビュー調査は、商品開発や製品の改良、カスタマージャーニーの作成など様々な場面で役立つ定性調査です。あらゆる分野で顧客体験の向上が重視されている今、ターゲットを深く理解するための手段として取り入れられています。

本記事では、インタビュー調査の種類と特徴を整理するとともに、実施方法とコツを6つのステップに分けて説明します。

インタビュー調査のコツ

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インタビュー調査のコツ

インタビュー調査の基本的なテクニックや注意すべきポイントを具体的な例を交えながらご紹介します。

インタビュー調査の種類と特徴

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インタビュー調査には、モデレーターと対象者の1対1で進めるデプスインタビューと、複数名の対象者を集めて座談会形式で進めるグループインタビューの2つの種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

デプスインタビューとは

デプスインタビューは、1名の対象者と対話しながら進める調査手法です。デプス(奥行き・深さ)の言葉の通り、表層的な事実だけでなく、その背景にある悩み・動機・価値観・感情など、深いところまで掘り下げながらターゲットのインサイトを発掘します。

デプスインタビューのメリット・デメリット

デプスインタビューのメリット・デメリットには、以下のことが挙げられます。

  • メリット
    • 行動実態や意思決定プロセスの詳細な情報を収集できる
    • 本人も自覚していない潜在的な心理まで掘り下げていくことができる
    • 1対1で実施するため、身体やお金などのデリケートな話も引き出しやすい
    • 他者の視線が気にならない中で、本音を引き出しやすい
  • デメリット
    • 対象者から本音を引き出すには、モデレーターに一定以上のスキルが必要
    • 1人の対象者につき60~90分程度の時間をかけるため、時間・コストの効率が悪い

デプスインタビューが適している場面

デプスインタビューが有効なのは、行動実態や深層心理を深く掘り下げたい場合です。次のようなケースで役立ちます。

  • 商品開発やプロダクトの改善、マーケティング施策の見直しなど、ターゲットのインサイト発掘が必要な場面
  • カスタマージャーニーマップやペルソナの作成
  • 他者がいる場所では話しにくいテーマを取り扱う場合

グループインタビューとは

グループインタビューは、共通性のある対象者を4〜8名ほど集めて座談会形式で進める調査手法です。年齢・性別・家族構成といった属性のほか、商品・サービスの利用状況、ライフステージなどの観点から共通点がある対象者を集めます。モデレーターは進行役を務めます。

グループインタビューのメリット・デメリット

グループインタビューのメリット・デメリットは次の通りです。

  • メリット
    • ターゲットのリアルな声を集められる
    • 効率的に複数名の情報を収集できる
    • 他の参加者の意見に触発されて、新たなアイデアや多様な意見が生まれやすい
  • デメリット
    • 他の参加者の影響を受けて同調やけん制が起きるなど、調査結果にバイアスが生じる場合がある
    • 他の参加者が気になり、本音を話しにくいことがある

グループインタビューが適している場面

グループインタビューが適しているのは、ターゲット層の多様な意見や反応を知りたい場合です。次のような場面で有効な手法です。

  • 試作段階の商品についての反応を知りたい
  • 商品・サービスの改善につながるヒントを得たい
  • 広告クリエイティブについての印象や評価を知りたい

インタビュー調査の方法とコツ

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インタビュー調査の方法とコツを6つのステップに分けて見ていきます。

1.調査目的を具体化

はじめにインタビュー調査の目的を決めます。次の2点を明確にすることで、調査設計の方向性が定まり、「調査をしたものの結果をうまく活かせない」という失敗を避けることができます。

  • 調査目的:何を明らかにするための調査か
  • 用途:調査結果を何に活用するのか

また、調査目的を設定する際に「こんなことが考えられるのでは?」という仮説を立てることで、対象者の要件や質問項目を精査しやすくなります。

2.全体計画を策定

次に全体計画を立てます。以下の事項を明確にしましょう。

インタビュー調査の種類と実施形態

調査目的に応じて、デプスインタビューまたはグループインタビューのどちらが適しているかを検討します。実施形態には、従来のオフラインのほか、オンライン、チャット形式の3つがあります。それぞれの特徴は次の通りです。

実施形態 特徴
オフライン その場の雰囲気・反応をつかみやすく、非言語情報(表情・視線・仕草など)も観察しやすい
オンライン 場所の制約を受けないため、居住地を選ばず国内外に対象者を広げられる
チャット形式 場所の制約を受けないことに加え、準備に手間がかからないため、よりスピーディに調査を実施できる

オフラインで実施する場合は、会場の手配も必要です。

対象者の人数・インタビュー時間

  • デプスインタビューの場合

    デプスインタビューでは、一つのテーマに際して理想的な人数は10名程度です。これは、10名を超えたあたりから意見や実態の類似ケースが多くなり、新たな発見が少なくなることが明らかになっているためです。インタビュー時間は60〜90分程度が一般的です。

  • グループインタビューの場合

    グループインタビューでは、属性や特性などの共通性がある4〜8名を1グループとして実施するケースが多くなっています。意見の比較をしたい場合は、属性や特性が異なる複数組に実施するという方法があります。インタビュー時間は、通常90〜120分程度で設定します。

全体スケジュール

インタビュー調査は、準備〜実施〜分析・レポートまである程度の期間を要するため、あらかじめ全体スケジュールを立てておくことが必要です。調査対象者の人数によっては数日間にわたってインタビューを実施することもあるため、効率的な時間割も検討しておくとよいでしょう。

予算

インタビュー調査は、社内で実施するケースと外部に委託するケースの2パターンがあります。社内で行う場合の主なコストは会場費と対象者への謝礼です。謝礼は60分で8,000円〜1万2,000円程度が相場になっています。

外部に委託する場合は、対象者の人数と調査企画〜実施〜分析・レポートのどの部分までを委託するかによって費用感が変わります。1テーマあたり、最低でも40万円程度を見ておく必要があります。

なお、チャット形式のインタビューは、これよりも費用を抑えることができます。

セルフ型のチャットインタビューサービス「Sprint」は、定額で使い放題のプランを月額19万8,000円で提供しています。年間を通じてインタビュー調査を高頻度で実施したい場合や、複数名の担当者が調査を行いたい場合にもおすすめです。

3.インタビューフローを作成

インタビューフローとは、質問内容や質問する順番、時間配分を決めたシナリオのことです。あらかじめインタビューフローを作成しておくことで、インタビュー当日にスムーズに進行できます。質問項目の考え方は、以下の点を参考にしてください。

質問項目の考え方

調査目的である「何を明らかにしたいのか」を聞き出せる質問項目を設定します。ターゲットの実態を深く理解したい場合は、次の点を意識して質問項目を整理します。

  • 知識に関する質問:知識やリテラシーがどの程度あるのか
  • 経験・行動に関する質問:過去の経験や実際にどのような行動をとったのか
  • 価値観に関する質問:どのような価値や意味を見出しているのか
  • 感情に関する質問:どんな気持ちになったのか

4.対象者のリクルート

調査目的に応じて対象者の要件を決め、該当する人をリクルーティングします。要件の設定では、性別・年齢・家族構成などの属性のほか、テーマについてしっかり話せるかどうかを見極めるための項目を設定することが重要です。

5.インタビュー実施

準備が整ったらインタビューを実施します。インタビューでは、対象者が自由に発言できるように次の点に留意します。

  • 専門用語は避けて、わかりやすい言葉で対話する
  • どんな意見に対しても肯定的に受け止める
  • 相手の話には中立的な反応を示し、回答を誘導しないように注意する

6.分析・レポート

音声データを文字に起こして、対象者の発言とそこから導き出されたファインディング(発見・気づき)を整理します。分析・レポートに決まった形式はありません。「誰に向けての報告書か」「何に活用するのか」を踏まえて、わかりやすくまとめます。

インタビュー調査を成功させるポイント

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インタビュー調査を成功に導くためのポイントを紹介します。

ラポールを形成する

ラポールとは、相手と信頼関係が結ばれている状態を表す心理学用語です。インタビュー調査ではほとんどの場合が初対面となるため、対象者が緊張しているケースが多くなります。対象者から有益な情報を引き出すには、最初に心理的な壁を取り除き、話しやすい雰囲気を作るラポール形成が重要です。

具体的には、冒頭の自己紹介で自分のことを知ってもらう、調査とは関係のない話題から始めてリラックスしてもらう、共通の話題を出して共感を得るといった方法があります。また、インタビュー全体を通して、相手を尊重する姿勢を見せることも気持ちよく話してもらうためのポイントです。

臨機応変に質問する

インタビュー調査で起こりがちなのは、インタビューフローに沿って1問1答で形式的に進めてしまい、深層的な情報を得られなかったというケースです。こうした事態を避けるには、対象者の発言や反応を見ながら質問することが重要になります。

気になる発言があったら深掘りしてみるというように、臨機応変な対応を心がけることが成功のポイントです。

行動・考え・感情に着目する

インタビュー調査のメリットを活かすには、表層的な行動実態だけでなく、その背景にある考えや感情を聞き出すことが大切です。ある行動をとったときの動機や理由、そのときの気持ちをヒアリングすることで、より多くの気づき・発見を得られるようになります。

次の点を参考に、掘り下げるポイントを整理しておきましょう。

  • その行動をとったきっかけや動機は何か
  • そのときにどのような気持ちになったか
  • そのときに何を期待したか
  • どんな満足感があるか、どんな不満があるか

ターゲットの理解・インサイト発掘に有効活用しよう

インタビュー調査では、これまで認識していなかった課題が見つかるなど、新たな発見・気づきを得られるというメリットがあります。現在では、居住地を問わずに実施できるオンラインインタビューや、より手軽にインタビュー調査ができるチャット形式のサービスも提供されています。ターゲットの理解やインサイトの発掘に、ぜひ有効活用してみてください。

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