デプスインタビューの質問項目と例|
質問設計と聞き方のポイントを解説

28 April.2022 / デプスインタビュー

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1対1で行うデプスインタビューは、質問項目の設計や聞き方によって引き出せる情報が変わる調査手法です。調査結果を左右するため、ポイントをしっかり押さえて進めることが必要です。
本記事ではデプスインタビューの質問設計のポイントと聞き方のコツ、事前に準備する質問項目の考え方を例とともに紹介します。

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デプスインタビューの質問設計のポイント

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デプスインタビューでは、限られた時間内に調査目的を果たすための情報を引き出す必要があります。そのため、質問設計の段階で入念に精査することが重要です。どのようなことに留意すべきか、ポイントを見ていきましょう。

調査の目的を明確にする

どの調査にも共通しますが、まずは調査目的を明確にします。調査目的が曖昧なまま進めると、「質問項目に抜け漏れがあった」「意思決定や施策に活かせなかった」などの失敗につながるため、ここからスタートします。

デプスインタビューを実施する目的は様々で、主に以下のようなことが挙げられます。

  • 商品開発やリニューアルの検討をするため、消費者の意思決定プロセスやインサイトをつかみたい
  • 定量調査でつかんだ傾向をより具体的に掘り下げて、アイデアのヒントを得たい
  • 商品企画やマーケティングの仮説を立てるための情報を収集したい
  • 市場ニーズについて理解を深めて、ターゲット層を明確にしたい
  • ペルソナやカスタマージャーニーの作成に役立てたい

調査目的を決めるときは次のことを明確にし、質問設計を検討する際にブレないようにします。

  • 調査によって解決したい課題は何か
  • 何について明らかにする調査か
  • 調査結果を何に活用するのか

以上の点を言語化することで、関係者間の認識の齟齬を防ぐことができます。

仮説を立てる

調査テーマに対して「こんなことが理由では?」「こんなことが考えられるのでは?」という仮説を立ててから進めると、質問項目を検討しやすくなります。たとえば、「他社製品への切り替えが起きるのは、○○が動機となっているのでは? こんなシーンが想定されるのでは?」のように仮説を立てると、質問すべき内容が見えてきます。

また、仮説を立てるためにデプスインタビューを実施する場合は、どんな情報を得られれば仮説を立てることができるのかを考えて整理します。

仮説を検証する質問を検討する

仮説を立てたら、それを検証するために必要な質問を検討します。

実際のインタビューでは対象者の回答と仮説が合っているかを確認しながら進めます。仮説と結果が合っていれば、さらに掘り下げることで新たなヒントを得られる場合があります。逆に結果が異なっていたとしても、思いもよらなかった気づき・発見につながり、有益な情報となります。

時間配分を決める

インタビュー調査で多い失敗は、時間が足りなくなり、予定していた質問ができなかったというケースです。これを防ぐために、どの質問にどれくらいの時間をかけるか配分を決めておきます。

ただし、実際のインタビューでは、対話の流れによって臨機応変に対応することが必要になります。設計段階では1問につき何分のように細かく決めすぎず、大きな枠組みで考えることをおすすめします。

例)
○○購入の意思決定プロセスについて(30分)
○○購入後の変化について(30分)

設計段階で質問の優先順位を決めておくのもポイントの一つです。時間が足りなくなったときに、優先度の高い質問に絞り込むといった対応をしやすくなります。

調査前に準備する質問項目の考え方・例

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質問項目を検討する際の考え方を例とともに見ていきましょう。

必ず聞くことを決める

デプスインタビューは、対話の流れを汲みながら対象者から自由な発言を引き出すことが重要な手法です。インタビューは、対象者の回答に応じて掘り下げていく形で進めます。事前に質問項目を細かく決めすぎてしまうと、適切なタイミングで適切な質問を投げられなくなってしまうことがあるため注意しましょう。

質問項目を考えるときは、調査目的を果たすために「必ず聞くこと」を決めて、全体構成をまとめていくのがポイントです。

例)
時間配分 質問項目 質問内容
20分 ○○購入の意思決定プロセスについて
  1. 購入前のイメージ
    ― ○○について、どのようなイメージを持っていたか?
  2. 購入の動機
    ― ○○を購入しようと思ったシーンは?
    ― ○○によって、どんな状態を実現したいと思ったか?
  3. 情報収集・比較
    ― どんな方法で情報収集したか?
    ― 他社製品と比較したか、選んだ理由は何か?
  4. 購入後の感情
    ― ○○を購入した後に感じた気持ちは?

行動・考え・感情を聞く

デプスインタビューを実施する目的の1つは、インサイトを発掘することです。質問項目を考えるときは、調査テーマについての対象者の行動・考え・感情を聞き出せる構成を考えます。「Say(発言)・Do(行動)・Think(考え)・Feel(感情)」の観点から、以下のような内容を質問項目に盛り込みましょう。

  • 実際にどのような行動をとったか
  • その行動をとったときの動機・きっかけは何か
  • そのときに何を期待したか
  • そのときに何を感じたか

デプスインタビュー実施中の質問のコツ

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対象者の本音や深層心理に迫るにはどのようなことに留意すべきなのか、インタビュー中の質問のコツを紹介します。

対象者の反応を見ながら掘り下げる

デプスインタビューは、事前に決めた質問項目に沿ってヒアリングする中で、気になった点を掘り下げていくという進め方をします。言葉だけでなく、たとえば「身を乗り出して話している」「迷いながら話している」などの反応にも注目しましょう。繰り返し出てくる言葉やとっさの反応は、インサイトを見つける糸口になることがあります。

「なぜ?」という聞き方に注意

理由を掘り下げようと思うと「なぜ、そうしたのか?」という聞き方をしがちです。しかし、「なぜ、それを選んだの?」「なぜ、それが魅力的だったの?」というように、「なぜ?」を繰り返すと、対象者は圧迫感を持つことがあるため注意が必要です。

また、人は「なぜ?」と問われると、「正しい答えを返さなくては」という意識が働き、バイアスがかかってしまうことがあります。理由を掘り下げたいときは、間接的な表現に置き換えることを意識しましょう。

NG例:「なぜ、これを選んだのですか?」
→改善例:「これを選んだ時に、どんなことを期待しましたか?」

「なぜ?」と問わずに、その時のシーンや体験を聞いてみるという方法もインサイトの発掘に有効な聞き方です。

デプスインタビューは対話であることを意識する

デプスインタビューは、対話を通じて深層心理を引き出す手法です。一問一答のような形式的なやり取りになってしまうと、デプスインタビュー本来のメリットを得られなくなるため注意しましょう。定性調査の一つではありますが、対象者との対話であることを意識しながら進めることが成功のポイントです。

回答を誘導しない

気づかないうちにモデレーター側が答えを誘導してしまうことがあるため注意します。たとえば、「つまり、こういうことですよね?」とまとめてしまうと、対象者の思考を狭めてしまいます。

また、回答内容によってモデレーターの反応が変わると、対象者は良いリアクションを得られるほうへと無意識に回答してしまうことがあります。モデレーターは常にニュートラルであるよう意識し、聞き役に徹することが大切です。

質問設計を入念に行うことでインサイト発掘につながる

デプスインタビューは、定量調査では得られない消費者の実態や深層心理、インサイトに迫ることができる調査手法です。多くの気づき・発見を得るには、質問設計のフェーズを入念に行うことが重要になります。ぜひ参考にして、成果につながる調査を実施してください。

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